警備員として働いていると、「片交」という言葉を耳にする機会が多くあります。
片交は、警備員として必ず覚えておきたい誘導方法です。
ここでは、片交の定義や方法、コツなどについて詳しく解説しています。
ぜひ参考にしてください。
片交とは?片交の定義について
片交とは、「片側交互通行」を略したものです。
片側交互通行とは、道路工事を行う際に1車線のみを進行させる交通規制のことです。
工事中は、車両が走行可能な道路の幅を十分に確保できません。
対向車のすれ違いができなくなるため、片側が通れないよう規制をかけて封鎖し、もう片方の車線だけを使って両方向の車両を交互に通行させます。
2号警備業務を行ううえで、通行止めと並んで必ず習得しておかなければならないのが片側交互通行。
2号警備員のメインとなる業務です。
片交には、交通誘導員や道路警備員といった人の手で合図を行うもの、信号機を使用した自動のものがあります。
片側交互通行における警備員の役割
片側交互通行における警備員の役割は、工事をしている作業員と走行している車両の安全を守るため、車両を適切に誘導することです。
規制が置かれている工事現場に出入りする作業車両と一般の車両が接触しないか、一般車両が問題なく走れているかを監視します。
また、作業員や作業車両が規制の外に出ることのないよう,適切に誘導することも重要な役割です。
歩行者や自転車が通るスペースのない道路では両方向の車両を止めて渡らせるなど、歩行者や自転車の安全な通行を促す役割も果たします。
店舗の駐車場が規制内にある場合には、駐車場の出入り口に立って適切に車両を誘導するなど、片交における警備員の役割は多くあるのです。
なお、車両や歩行者の安全を守ることはもちろん、自身の安全性を確保することも覚えておきましょう。
片側交互通行での交通誘導の方法
では、片交における交通誘導の方法をお伝えしましょう。
合図のやり方も説明していますので、しっかりチェックしてください。
片交の基本の流れ
片側交互通行は、規制の始点側と終点側、計2名の警備員で行うのが基本です。
大まかな流れは、下記のとおりです。
片交の基本の流れ
- 〈1〉始点側の警備員は、車両が停止したことをまず確認
- 〈2〉終点側の警備員に、最後に通った車両の特徴やナンバーなどを伝える
- 〈3〉情報を受け取った終点側の警備員は、最後に通過した車両が情報と合っているかを確認し、
こちらからこちらから車両を通すことを伝える - 〈4〉始点側の警備員は車両を通してよい旨を伝える
- 〈5〉終点側の警備員が車両を通す
何台かの車両を交互に通過させるため、他方の警備員に的確に情報を伝えることが大切です。
誘導における合図の方法
警備員が合図をするときは、誘導棒や旗を使います。
合図によって、車両を停止させたり発進させたりします。
- 止めてください
- 流してください
- 了解
誘導で使う合図の種類は、3種類。
しかし、これは他方の警備員に対する合図の種類です。
実際の現場では、ドライバーへの対応が追加されます。
誘導棒で合図を行う場合の、一連の流れは以下のとおりです。
誘導棒で合図を行う流れ
自分側の車が流れている場合
- 車を止める予備動作
- 車を止める動作
- 止まった車のドライバーに礼をする、または敬礼する
- 止まった車に手で静止を促す
- 手で静止させたまま、ほかの警備員に「流してください」と合図を送る
- 静止していた手を誘導棒に変える
他方の警備員から「流してください」と合図があったら
- 誘導棒を手による静止に変える
- 了解の合図をする
- 静止していた手を誘導棒に変える
- 進行方向を確認する
- 静止していた誘導棒を下げる
- 待っていた車のドライバーに礼をする、または敬礼する
- 進行方向を手で示しながら発進の合図をする
これらの動作を繰り返します
一連の流れの中で、他方の警備員に送る合図は「流してください」「了解」の2つだけです。
ほかの動作もありますが、ひとつひとつの動作自体は難しいものではありません。
しかし、前述した一連の流れを実際に行ってみると、意外と難しいことがわかります。
現場でいざ誘導するとなったとき、片側交互通行をマスターしていないと何の役にも立ちません。
わかりやすく解説している動画もたくさんありますので、動画を見ながらきちんと復習しておくのがよいでしょう。
交通誘導のコツとは?
ここでは、片交で交通誘導を行う際のコツを説明します。
しっかりコツを掴んで、スムーズに業務を進めましょう。
工事着工前に事前準備をしっかり行う
工事着工前に、事前準備をしっかり行うことをおすすめします。
現場に到着したら、規制をかける範囲やカラーコーンの数などを確認しておきましょう。
次に、車の流れもよく観察することです。
交通量は左右どちらが多いか、走行しているスピードはどのくらいか、脇道から車が来る可能性はあるか…など。大まかでもよいので、現場の状況を把握しておくことが大切です。
着工前の準備を忘れないことが、安全でスムーズな誘導に繋がります。
「止まれ」の合図は大きな動作でわかりやすく
警備員の合図が小さかったり迷いが見えたりすると、ドライバーにとっては非常にわかりづらく、事故の要因にもなりかねません。
「止まれ」の合図は非常に大切です。
大げさなくらいの動作でちょうどよいレベルです。
ひとつのポイントとして覚えておきたいのが、「止まれ」の合図を行う際、先頭の車を停めるのではなく、2〜3台の車両を停めるつもりで行ってください。
ドライバーに急ブレーキを踏ませないよう、余裕のあるタイミングを心がけましょう。
また、車が完全に止まるまでは、ドライバーから目を逸らさないこともポイントです。
逆方向に目を向けていたら、ドライバーは自己判断で進んでいく可能性もあります。
必ず大きな動作で、明確に「止まれ」の合図を送りましょう。
なお、合図によってスピードを落としてくれたドライバーには、きちんと礼をすることも忘れないでくださいね。
両方向の車両の台数を考慮し臨機応変に
誘導を行っていると、両方向の待機車両の数をすぐに判断して、台数が多い方を少し多めに流すといった臨機応変な対応をしなければならない場面も出てきます。
その場で適切な対応をしなかった場合、車両が増加した方のドライバーが強引に突っ走ってしまう可能性もあります。
車両の数を考慮した誘導で、車の流れを円滑なものにできるでしょう。
信号がある現場でも事前準備を行う
片交は、信号機を使ってドライバーに合図を行うケースもあります。
信号がある現場でも、事前準備をしっかり行うことがポイントです。
信号が青から黄色に変わるまでの時間、規制区間から信号がある場所まで何台の車が入るかなどをチェックしておきましょう。
お伝えした2点をチェックしていれば、安全かつ円滑に誘導を行えるでしょう。
片側交互通行は、警備業の中でも難しい作業だと言われています。
1車線で、スムーズかつ安全に誘導を行わなければいけません。
常に神経を集中させ、すぐに適切な判断ができるようになりましょう。
車両を流す量も、臨機応変に対応することが必要です。
合図をひとつでも間違えてしまうと大きな事故を起こしかねないため、警備員の責任は非常に重大になります。
2人で誘導を行う場合は、相手と事前に合図を確認し合い、業務中でも徹底して連絡を取り合うようにしましょう。
場合によっては1人で行うこともある
前述しましたが、片交での誘導は警備員2名で行うのが基本です。
しかし、実際の現場では1人で行わなければならないケースもあります。
車両1台分程度の規制の場合と、他方の警備員が休憩を取る場合に、1人で誘導を行うことになります。
1人での誘導は合図を送る相手がいないため、行う動作は車に対する静止と発進のみ。
車を止めるタイミングは自分の裁量に依存しますので、周囲をよく確認して、決して無理をしないようにしましょう。
まとめ:片交とは道路工事の際に1車線のみを進行させる交通規制のこと
片交とは「片側交互通行」を略したものであり、道路工事の際に1車線のみを進行させる交通規制を指します。
2号警備員のメインとなる業務ですが、作業者や車両だけでなく、歩行者や自分の安全にも考慮し、スムーズな誘導を行うことが大切です。
- 現場の事前準備をしっかり行う
- 「止まれ」の合図は大きな動作でわかりやすく行う
- 両方向の車両の台数を考慮し臨機応変に行う
片交の誘導には、上記のような、いくつかのコツがありますので、何度も練習をして完璧に習得しましょう。
弊社では、チャレンジ精神のある警備員を募集しています。
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