AIの進化は、私たちの生活や仕事に大きな変化をもたらしています。ひょっとしたら、警備員の仕事がAIに取って代わられるのでは?と気になっている方もいるのではないでしょうか。
今や警備の現場では、顔認識システムや動作分析といったAI技術が取り入れられ、私たちの安全を守るのに役立っています。
しかし現状では人にしかできない警備業務があることから、AIの活用は進んでも完全にAIに取って代わられるのは困難でしょう。
今後はAIを活用できる警備員の需要が高まることは間違いなく、警備員の将来性は高いと考えられます。
この記事では警備員とAIの関係性や、今後の将来性について考察していきます。
警備の仕事にAIを導入するメリット
警備の仕事でAIはさまざまな場面で活用されています。この項目ではAIを警備業界に導入するメリットについて解説します。
人手不足の解消
AIの活用にて人手不足の解消ができるので、働く警備員の負担を減らせるのがメリットです。
警備業界は他の業種に比べても慢性的な人手不足と、働く人の高齢化が問題になっています。
採用難易度を示す指標で有効求人倍率という数値があり、令和5年4月時点での全仕事の平均は1.32倍ですが、警備員を含む「保安職業従事者」の正社員に限ると6.64倍という非常に高い数値になっています。
参考:一般職業紹介状況(令和5年4月分)について | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)
現状として警備の仕事はの需要は依然として高いので、、人材確保の困難な会社が大多数といえるでしょう。
人手不足の解消を目的として現場に警備ロボットなどを導入し、少ない人員配置で警備が可能にするケースが増えています。
また、AIにもできる業務はAIに任せれば人の業務量が減るので、人でしかできない仕事にリソースを集中できるメリットもあります。
多くの範囲・人をカバーできる
人の目よりも多くの範囲をカバーできるのがAIの魅力です。
AI機能を搭載したカメラなら広範囲を同時に監視できるので、人間のように一箇所ずつ見る必要がありません。
特に大人数が利用する建物やイベントでは、人目を盗んで迷惑行為が起きる場合があります。AIなら人の目では追いきれない人数の監視が可能なので、犯罪の抑止にもつながります。
人の死角になる場所を含む広い範囲や大人数の行動を監視することは、AIの得意な分野といえるでしょう。
人的ミスや見落としが減る
AIは24時間休まず稼働できるので、活用すれば人為的なミスや見落としを大幅に減らせる可能性があります。
警備員は不規則勤務のことも多く、眠気や疲労から注意力散漫になりやすいです。そもそも人間はミスや見落としを起こすリスクをゼロにできません。
AIなら24時間休むことなく監視をし続け、不審な動きを感知し素早く知らせてくれるので、見落としやミスを減らす効果が期待できます。
ヒューマンエラーはゼロにできないので、AIを補助的に導入することでミスや見落としのリスクを下げられます。
人の配置が難しい現場も対応可能
AIを警備に導入すると、人間が入りにくい場所や危険な場所でも監視できます。
さまざまな理由で人間が近づくのが危険な現場であっても、AIカメラやロボットなどを使えば安全に監視ができます。
最近需要の高い個人宅など小規模の警備でも、警備員の配置は難しくてもAIなら比較的簡単に導入できるメリットもあります。
人間の手で監視・警備するのが困難な現場の警備も、AIの活用で可能になっています。
コスト削減
導入やメンテナンスに費用はかかりますが、長期的に見るとAI導入はコスト削減にもつながります。
人を雇う場合は給料や交通費などを払う必要があります。他にも研修や健康管理、福利厚生などの面でも費用がかかります。
特に警備業は人員不足が深刻なので、採用にもコストがかかる傾向があります。
一方でAIを使った警備の場合は、設置コストやメンテナンス費用は必要ですが、給料などを払う必要がないのでコスト削減になります。
初期費用はかかるものの、長い目で見ると人を雇うよりコスト削減が期待できます。
警備の仕事がAIに取って代わらない理由
AIの導入にはさまざまなメリットがありますが、完全に人の手をゼロにはできません。AIのデメリットと人間でないと不可能な業務があるためです。具体的に以下で解説します。
トラブルの直接解決ができない
AIはトラブル自体の直接的な解決はできないので、トラブル発生時の対応として人の手が必要です。
カメラやセンサーなどで盗難や侵入などの発生を感知したとしても、実際に人間が現場に行って対応したり、警察に連絡したりする必要があります。
AIは監視と異常時の通報はできても、直接解決の手段を取ることはできません。
臨機応変に対応できない
臨機応変に対応できるのは人間の強みであり、AIは予想外のことや新しい問題に対応できない場合が多々あります。
AIは人間がプログラムしたことしかできませんが、人間は経験や直感、判断力を使ってさまざまな問題に対処できます。
予想外のことや新たな問題に臨機応変に対応するためにも、人手は必要でしょう。
細やかな対応は難しい
細やかな対応や柔軟な判断が必要な場面では、人間ではないと対応できません。
業務上で警備員が相手にする人は、自身や周囲の人や建物に危険をもたらすリスクの高い場合もあります。
トラブルを最小限にとどめて自身と周囲の安全を確保するためには、状況を見ながら細やかな対応のできる警備員の存在が必須です。
AIはプログラム通りに正確に動くのは得意ですが、人間のような状況判断や細やかな対応は現状では難しいでしょう。
故障・盗難のリスク
AIは機械なので、故障やサイバー攻撃、盗難のリスクはゼロにはなりません。
故障や停電、サイバー攻撃によって、AIが停止したり誤った情報を出したりする可能性があります。
もし盗難が発生した場合AIが犯人を捕まえるのは無理なので、人間の警備員が現場に出向いて対処する必要があります。
故障していなくてもAI自体が間違った動きをすることもあり、状況に応じて適宜人間が修正をかける必要もあります。
AIが機械である以上、異常がないか観察し管理する人の存在は必須になるでしょう。
安心感が得られにくい
利用者側の気持ちとして、人がいないと安心感が得られにくいかもしれません。
いくらカメラやAIが高性能であっても、人がいることによる犯罪の抑止や安心感は完全には補えません。
警備の仕事は道案内などの対応も含まれますが、機械の操作が苦手などでAIを活用できない人の対応は人手が必要になります。
警備員の仕事は幅が広く、利用する人からすれば警備員がいる方が安心できるでしょう。
将来の警備員に求められること
これからの警備員はAIを活用しながら働くことになります。これから警備員に求められることを知れば、スキルアップや転職に有利になるので参考にしてください。
AIとの業務役割分担
現状としてAIが警備の仕事を全てこなすのは難しいので、業務役割分担を行うことが重要になります。
一般的にAIが得意なことは以下の通りです。プログラムの範囲内でエラーやミスなく、パフォーマンスを維持するのが得意といえます。
- 24時間365日疲れることなく、一定のパフォーマンスを維持する
- 多くの範囲や人を監視する
- 得られた大量の情報を処理する
- プログラムされた通り正確に動く
一方でAIが苦手なことは以下になります。直接的な警備業務やプログラム外の内容になると対応できなくなります。
- プログラムされている内容以外の対応
- 直接的なトラブルへの介入
- 複雑な人間の行動への対応
AIは活用する側の使い方次第で、より効果を発揮するものです。人間とAIそれぞれの得意・不得意を把握し、AIの能力や限界を踏まえて役割分担するとよいでしょう。
臨機応変な対応力
これからの警備員は、AIでは代替できない直感や経験、判断力を磨き、臨機応変に対応する力をつけることを意識してください。
AIの発展でたくさんの情報を正確に知れるようになりましたが、実際にトラブルなどの対応は人間になります。
これから警備員としてキャリアアップするためには、状況を判断し臨機応変に対応する力が重要になるでしょう。
人間ならではのコミュニケーション力
警備の仕事を通して、人々に安心感を与えられるコミュニケーション力も求められます。
AIは感情や細かな社会的なニュアンスを理解するのは困難で、相手の気持ちや状況を推し量った対応は期待できません。
そのため、警備員がいるのとAIだけの場合では、利用する側の気持ちやイメージも異なってきます。特に高齢者はAIがうまく扱えず、困った時は警備員を頼りにする人が多いものです。
AIが発展している現代だからこそ、今後ますます人間だからできる細やかな気配りや接遇を求められてくるでしょう。
将来はAIと共存して警備ができる人材が求められる
警備業界の人手不足を解消し、より高度な業務にも対応するためにAIが活用されています。
AIは体調や疲労に左右されず連続で稼働できる・人為的なミスや見落としを防ぐといったメリットがありますが、機械特有のデメリットをゼロにすることはできません。
そのため、警備の仕事がAIに取って代わられることは考えにくく、むしろスキルの高い警備員はますます重宝されるでしょう。
今後はAIを効果的に活用できる警備員が求められるので、将来スキルアップ・キャリアアップしたい方は積極的にAIについて知識を持つことをおすすめします。
安定した仕事に興味がある方・AIを活用した仕事に興味がある方は警備の仕事も候補にいれてみてはいかがでしょうか。