警備員と警察官は制服や業務内容が似ていることから、間違えられやすい職業です。
警備員が警察と似たような仕事をしなくてはならない時に、警備員が行なっていい業務なのかがわからず心配になることもあると思います。
結論として両者は異なる点が多いので、知った上で業務にあたるのがベターです。
具体的な違いは以下の通りです。
- 法的な権限
- 雇用形態
- 必要な資格
- 責任レベル
- 使用できる物品の範囲
今回は警察官と警備員の違いについて具体的にわかりやすく解説していきます。
この記事を読むと警備員ができる業務範囲がわかり、業務で判断に迷う場面の際に自分を守ることに繋がりますので参考にしてください。
警察官と警備員の違い
警察官と警備員の違いは大きく分けると5つに分けられます。
各項目ごとに警察官と警備員の違いについて詳しく解説します。
1.法的な権限の有無
警察官と警備員の違いとして、法に基づく強制力の有無が挙げられます。
警察官は警察官職務執行法に基づき、取り調べや事件の捜査、犯罪者を逮捕する権限を有しています。
一方で警備員も安全を守る仕事ではありますが、警備員の業務は警備業法にて定められているという違いがあります。つまり、警備員には逮捕権などの強制力はありません。
警備員が業務で犯罪者を取り押さえた場合逮捕はできないので、警察に身柄を引き渡す必要があります。
2.公務員か民間企業の従業員か
警察官は公務員、警備員は民間企業の従業員という違いもあります。
公務員は公益性が高い業務で福利厚生が手厚いぶん副業禁止なので、警察官が警備員と兼業することはできません。一方で警備員は民間企業の従業員なのでダブルワークが可能です。
警備員は警察官に比べて、働き方が自由で選択肢も広いです。
3.必要資格
警察官は試験合格後に警察学校で学ぶ必要がありますが、警備員は採用後所定の研修を受けるのみでなることができます。
警察官になるには高卒以上で警察官採用試験や国家公務員試験に合格し、警察学校で学んだ後になることができます。
警備員は学歴不問で警備会社の採用試験に合格し、所定の研修を受けたら基本的には誰でもなることができます。
警察官になるのは比較的ハードルが高いのに比べると、警備員のほうがなりやすい職業といえます。
4.業務上の責任レベル
安全を守る仕事という意味では両者は似ていますが、職務上求められる責任は警察の方が幅広く責任レベルも高くなっています。
警察官の任務は警察官職務執行法にて「警察官は個人の生命・身体及び財産の保護、犯罪の予防、公安の維持並びに他の法令の執行等の職権職務を忠実に遂行する等を任務とする」と定められています。
つまり警察官が安全を守る範囲は、社会全体に及んでいるのです。
一方で警備員は民間人ですので、契約に基づき保安を担います。依頼された建物や物品、人物の安全を守るのが業務の範囲です。
他にも、警察官は勤務外であっても社会のルールを厳密に守る必要があります。
万が一不祥事を起こすと処分を受けることになり、場合によっては新聞やニュースに載ってしまう可能性もあります。
もちろん警備員も社会のルールは守る必要はありますが、警察官ほどの影響はないです。
警察官は社会全体の安全を守り、警備員は業務の範囲で安全を守る責任があるので警察官の方が責任が重いです。
5.業務で使用できる物品
警察官に比べると警備員の護身用具は、限られた範囲内での所持になります。
警備員が使えない護身用具としては拳銃が代表的で、警察官は業務上必要なら拳銃を所持することができます。
警備員も警棒は使えますが、使用する前に届け出が必要です。
護身用具に関しては細かくルールが定められているので、使用できる範囲を事前に確認しておくのがおすすめです。
「交通整理」と「交通誘導」の違い
よく混同されやすい「交通整理」と「交通誘導」ですが、担う業種や強制力が異なります。
警備員が行うのは「交通誘導」で、工事現場などで人や車の流れを見ながら事故が起こらないように誘導します。
強制力は無くあくまでお願いなので、相手が交通誘導に従わなかったとしても処罰はされません。
一方で「交通整理」は警察官もしくは交通巡視員が行うもので、強制力を伴うので従わなければ罰せられます。
交通整理は信号と同じ扱いで、交通誘導はあくまで協力をお願いするというイメージでいると分かりやすいです。
警備員と警察官の制服が似ている理由
警備員と警察官の制服が似ている理由は、防犯上のメリットがあるためです。
あえて警備員が警察官に似ている制服を着ることで、心理的なプレッシャーをかけ犯罪を抑制させる効果が期待できるのです。
警備員が警察官と似た制服を着ていると、交通誘導などの警備員の業務がしやすいというメリットもあります。
建物などの利用者にとっても警備する人がいることがすぐにわかるので、安心感を与えることができます。
確かに警備員と警察官の服装は似ていますが、両者の見分けがつかないと問題になることがあるので全く同じにしてはいけないのがルールです。
普段よく目にする警察官の制服は国家公安委員会規則で定められており、ほとんど全国共通になっています。
一方で警備員の制服は会社によって様々ですが、所属している警備会社のワッペンをつけていることが多いので警察官との判別が容易になっています。
警備員の制服に共通するのが警備業法に沿った制服でなければならないこと・事前に服装届を提出し許可を得た制服しか着てはいけないというルールがあることです。
自分を守るために警備員の業務範囲を知ることが大切
警察官と警備員についての違いは大きく分けると以下の5点です。
- 法的な権限:警察官には逮捕権などの強制力がありますが、警備員にはありません。
- 雇用形態:警察官は公務員で兼業不可、警備員は民間企業の従業員で働き方が自由です。
- 必要な資格:警察官は高卒以上で所定の試験に合格し、警察学校を卒業することで警察官になることができます。警備員は学歴不問で、採用試験に合格し研修を受ければなることができます。
- 責任レベル:警察官は社会全体の安全を守るのが業務で、警備員は対象の建物や人物の安全を守るのが業務です。
- 使用できる物品の範囲:拳銃を所持できるのは警察官のみです。警備員でも許可があれば警棒は使うことができます。
警備員は警察官と間違えられやすいので、自分にできる業務範囲を知っておくことで業務からの逸脱やトラブルに巻き込まれるリスクを下げることができます。
警備の仕事は安全を守るという点では、警察官と同じくらい人々に安心感をもたらすことのできるやりがいのある仕事です。
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