建設現場で重要な役割を担う型枠大工は、技術と知識の向上、健康管理、そして円滑な人間関係が求められる過酷な仕事。その一方で仕事のやりがいや安定、多くの人々の暮らしや社会に貢献できる点は魅力です。
本記事では、型枠大工で働く際の人間関係の築き方や健康管理、技術や知識の習得方法などを詳しく紹介します。型枠大工として働こうと考えている場合は、この記事を参考にしてください。
型枠大工の仕事内容と特徴
型枠大工は、建物の基礎などを作成する際に、コンクリートを流し込むための型枠を組み立てる仕事です。一般住宅やマンションだけでなく、高速道路やトンネル、立体駐車場などの土木工事や建設プロジェクトなどにも関わります。自前の道具を持ち歩き、スムーズに型枠を組み立てていきます。
型枠大工の年収
求人ボックスのデータによると、型枠大工の平均年収は約440万円です。国税庁によると給与所得者の平均年収は443万円と言われています。(参考:令和3年分 民間給与実態統計調査|国税庁)そのため、型枠大工の収入は日本の平均年収と同じ程度になります。月給で換算すると37万円で、初任給は21万円程度が相場のようです。
仕事の流れ
型枠大工の仕事の流れは次のとおりです。
1. 設計図から立体的な寸法を割り出して、図面を作成する
2. 図面を元に板を加工して型枠を作成する
3. 現場にて型枠を設置する
4. 組まれた鉄筋の周囲に木製の型枠を建て込む
5. コンクリートを流し込んだあとに、固まったら型枠を外す
型枠大工は以上の工程を段取り良く進める必要があります。
型枠大工の仕事がきついと感じられる理由
型枠大工の仕事は体力勝負で、きついと感じられる場面も多々あります。仕事内容が過酷であるため、「型枠大工はやめとけ」と言われることもあるようです。ここでは、型枠大工の仕事がきついと感じる理由として次の4つについて解説します。
- 重い荷物を運搬したり、荷揚げをしたりするから
- 厳しい条件のなか働く必要があるから
- 先輩や上司が怖くてコミュニケーションで悩むことがあるから
- 細かい計算や専門的な知識が求められるから
それぞれについて詳しく解説します。
重い荷物を運搬したり、荷揚げをしたりするから
現場仕事の特徴は身体的に厳しい点で、型枠大工も例外ではありません。重い荷物の運搬や荷揚げ作業が多く、体に大きな負担がかかります。
たとえば、型枠大工が扱うことの多いベニヤ合板は1枚11kgほど。1度に3〜5枚持つことが多いため、腰痛の原因になることもあります。またコンクリート打設後の型枠解体も体力を必要とする仕事であるため、慣れるまでツライと感じることが多いようです。
厳しい条件のなか働く必要があるから
型枠大工は屋外での作業が中心。炎天下や厳しい寒さのなかで作業することが、ツライためやめたくなる人もいます。とくに夏場は体力の消耗が激しく、作業の負担がさらに増すことでしょう。
先輩や上司が怖くてコミュニケーションで悩むことがあるから
型枠大工の先輩や上司は厳しいことがあり、自分の意見や考えを伝えづらいと感じることがあるかもしれません。さらに現場ではさまざまな職人が協力して仕事を進めるため、他の職人との円滑なコミュニケーションも欠かせません。
人間と関わることの多い仕事であるため、人間関係によるストレスや悩みを抱えることもあるでしょう。
細かい計算や専門的な知識が求められるから
型枠大工は、図面を読み解きながら型枠を加工し、現場で立体的に組み上げる仕事です。ときには細かい計算が必要な場合もあるでしょう。
そのため型枠大工のなかには、「型枠施工技能士」や「建築施工管理技士」などの資格を取得してスキルアップを図る人もいるのです。これら2つの資格を取得するためには、次のような一定の条件が求められます。
- 型枠組立てや解体作業での経験が3年以上
- 土木・建築関係の学科の専攻もしくは卒業
- 型枠大工としての実務経験が2年以上
経験を積みながら専門的な知識を蓄積する必要があります。
きつい型枠大工の仕事を続けられる理由
型枠大工はきつくても次の理由から仕事を続けられるようです。
- やりがいがあるから
- 何気ない会話が楽しいから
- 仕事の将来性や需要があるから
それぞれについて解説します。
やりがいがあるから
型枠大工は、コンクリート造の構造物を建設する際に重要な役割を担う仕事です。具体的には、構造物の基礎や躯体の作成に携わります。
そのため構造物が完成したときには、達成感や誇りをもてるでしょう。また自分が関わった構造物が地図に残り、長期間にわたって人々の暮らしや社会を支えることからも、型枠大工の仕事にはやりがいを感じられるでしょう。
何気ない会話が楽しいから
型枠大工は建設業の1つです。建設業では多くの業者と関わるため、出会いに恵まれていたり、喫煙所や休憩所での何気ない会話が楽しく感じられたりするようです。
さまざまな業種の人たちと会話が盛り上がると、仕事のストレスが和らいだり、職場の雰囲気がよくなったりすることもあります。同じ建設業で働く者同士だからこそ、現場のコミュニケーションの楽しさや重要性がよく理解されているといえます。
仕事の将来性や需要があるから
ビルやマンション、橋梁、ダムなどコンクリート造の建築物は、今後もさまざまな分野で建設される予定です。そのため、型枠工事の需要も将来にわたって続き、仕事に困ることはないと考えられます。
とくに都市部では、高層ビルやタワーマンションなどの建築が盛んで、需要が高い状況が続いています。
また、型枠工事は一般住宅の基礎工事や護岸工事など、さまざまな現場で必要とされている仕事。大規模な公共工事でも欠かせない存在です。以上より、型枠大工の仕事は安定性が高く、将来性にも優れていると言えます。
きつい型枠大工の仕事を乗り越えるための対策
きつい型枠大工の仕事を乗り越えるためには、まずは心身のケアをすることが重要です。また先輩や上司と仲良くなったり、知識や技術の向上をはかったりすると現場でもうまくやっていけるでしょう。
ここでは、きつい型枠大工の仕事を乗り越えるための対策について解説します。
心身をケアすること
型枠大工のような身体的に負担のかかる仕事では、心身の健康管理が重要です。十分な睡眠をとることや、バランスの良い食事を摂取することが健康維持に欠かせません。また、適度な運動を行うことも体力や健康状態を維持するために役立ちます。
さらに、ストレスケアも大切です。物事の捉え方を変えることや、ストレス軽減に効果的な食材を摂取することで、ストレスを軽減し、仕事や日常生活の質を向上させることができます。健康管理を心掛けることで、長期間にわたって仕事を続けられるだけでなく、自身のライフスタイル全体が向上します。
先輩や上司と仲良くなること
職場で円滑な人間関係を築くためには、自分から積極的にコミュニケーションを取り、相手の意見や考えを尊重することが重要です。また、先輩に教えてもらうだけでなく、先輩の仕事のやり方を見て覚えることも大切な学びとなります。
休日などを利用して社員同士で交流する機会が多い場合、そういった場面でもコミュニケーションを大切にすることで、職場の雰囲気を良くし、仕事の効率やチームワークが向上します。積極的なコミュニケーションを心掛けることで、より充実した職場環境を実現することができます。
知識や技術の向上を図ること
自分の技術や知識を向上させることで、他の職人からの信頼を得られるようになります。建築図面の読み取りや型枠の加工、現場での立体的な組み上げなど、技術を磨くことが重要です。
また、型枠施工技能士の資格を取得することで、型枠大工として必要な知識や技術を習得できます。資格取得を目指すことによって、自分のスキルアップやキャリアアップにつながり、仕事に対する自信や他者からの信頼も高まります。努力してスキルを磨くことで、職場での評価や信頼を得られるようになります。
型枠大工の仕事はきついこともあるけど魅力のある仕事
型枠大工は建設や土木工事のプロジェクトで重要な役割を担う魅力のある仕事です。高層ビルやマンションの建設も盛んで、今後も高い需要が見込まれます。
型枠大工を続けるためには、健康管理やストレスケアを心掛けることが大切です。また円滑な人間関係を築くために、先輩や後輩と積極的にコミュニケーションを取り、技術や知識を向上させて信頼を得ましょう。自己成長したり、キャリアアップを目指したりしたい場合は資格を取得するのも1つの手段です。
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