工事現場、ショッピングモール、イベント会場の警備などなど、市民生活の安全、安心を守るうえで欠かせないのが警備員です。
市民の安全を守る警備員として現場で活躍するには、必ず研修を受けなければなりません。
その研修の指導者になるには『警備員指導教育責任者』の資格が必要です。
この記事では『警備員指導教育責任者』の資格取得方法、資格を持つメリット、難易度、合格率、年収などについて解説いたします。
あなたのキャリアアップに欠かせない情報を網羅しました。
円安、物価高の荒波を乗り越えるためにも、ぜひ参考にしてください。
警備員指導教育責任者の資格とは?
警備員指導教育責任者とは、警備員の指導や教育を行うのに必要な国家資格です。
『警備員指導教育責任者資格者証』が公安委員会から交付されます。
警備業務に関する専門的な知識及び技能を有することが条件であり、警備業務を適正に行うために警備員に指導、教育を行う重要な役割を担います。
警備員指導教育責任者の主な業務
警備指導教育責任者の業務に関しては『警備業法施行規則』の第40条に掲載されています。
主な業務を以下に要約しました。
- 作成した指導計画書に基づいて警備員を指導し、その記録を作成する
- 作成した教育計画書に基づいて警備員教育の実施を管理する
- 書類や警備員教育に関する記録の記載を管理、監督する
- 警備員の指導や教育について、警備業を営む者に必要な助言をする
平成17年11月21日に警備業法が改正され、各営業所ごと及び取り扱う警備業務の区分ごとに警備員指導教育責任者を選任し、指導、教育、監督に当たらせることが義務づけられるようになりました。
また、警備員指導教育責任者資格者証についても、警備業務の区分ごとに交付されることになっています。
警備員指導者教育責任者になる方法とは?
警備員指導教育責任者になるには、都道府県の公安委員会が実施している警備員指導教育責任者講習を受講してください。
講習の最後に行われる修了考査に合格すると『警備員指導教育責任者資格者証』が与えられます。
警備員指導教育責任者資格取得講習は、新規取得と追加取得の2つに分けられますので注意してください。
警備員指導教育責任者になれる条件
警備指導教育責任者の新規取得と追加取得には、それぞれ講習や終了考査を受けるための受験資格が存在します。
- 受講する警備区分の業務について、最近5年間に通算3年以上従事している者
- 受講する警備区分の警備業務検定 1 級の合格証明書の交付を受けた者
- 受講する警備区分の警備業務検定 2 級の合格証明書の交付を受けてから1年以上継続してその区分の業務に従事している者
- 受講する警備区分の旧検定1級に合格している者
- 受講する警備区分の旧検定2級に合格した後、1年以上継続してその区分の業務に従事している者
上記のうちいずれか一つの資格を満たしている場合は、新規取得または追加取得の講習や終了考査を受けることが可能になります。
※なお、上記受講資格については一般社団法人 東京都警備業協会のHPを参考にしました。
新規取得と追加取得については次で詳細を述べます。
新規取得の条件と業務区分とは?
前章で述べた1~5のいずれかに該当した方は『警備指導教育責任者』新規取得の講習を受けることができます。
新規取得者講習は、新たに警備員指導責任者の資格を取得する人を対象とした講習です。
- 1号警備:施設警備
- 2号警備:交通警備、雑踏警備
- 3号警備:運搬警備
- 4号警備:身辺警備
上記の業務区分別に受講します。
また、いずれの区分も講習の最終日に修了考査があり、それに合格してはじめて資格が与えられます。
40問の出題があり、80%以上の正解で合格です。
追加取得講習の条件とは?
追加取得講習とは、既に新規取得講習を終えて警備員指導教育責任者講習修了証明書を取得している方が対象です。
例えば、1号警備の『警備員指導教育責任者資格者証』を保有している方が、2号警備の資格者証を取得したい場合は、これに該当します。
こちらも新規取得と同じく講習の最終日に修了考査があり、それに合格しなければなりません。
14問の出題があり、80%以上の正解で合格です。
警備員指導教育責任者試験の難易度は?
前の章でも述べましたように、講習の最終日に行われる修了考査に合格するには80%以上の正解率が求められます。
新規取得では40問の出題で制限時間が100分のテストです。
追加取得は14問の出題となります。
正確なデータは公表されてませんが講師の方に聞いたところによりますと、おおよそ8割程度の合格率だと言っていました。
試験としての難易度は決して高くありませんので、是非、挑戦してください。
警備員指導教育責任者のメリットとは?
警備員指導教育責任者になると、ほかの警備員を監督、指導する立場になります。
そのため資格をとることにより、資格手当が支給され給与のアップが見込めるのです。
また、管理者として責任を求められますが、その分やりがいも感じられるようになります。
管理指導が主な仕事になると体への負担が軽くなり、年齢を重ねても続けられるのはかなりのメリットです。
資格を持っていると仕事の幅が広がり、転職にも有利となります。
ただし、資格を持っているからと言ってすべての要求が通る訳ではありません。
人々の安全や財産を守る仕事ですから、人柄なども考慮の対象になります。
そのあたりの認識もしっかりと持つことが大切です。
警備員指導教育責任者の新規取得講習と料金
警備指導教育責任者の取得には講習を受ける時間と費用が発生します。
新規取得では5日間~7日間の講習があり、費用も34,000円から47,000円と決して安くはありません。
講習を受ける時間 | 費用 | |
1号警備(施設) | 7日間で47時間 | 47,000円 |
2号警備(交通誘導) | 6日間で38時間 | 38,000円 |
3号警備(貴重品運搬) | 6日間で38時間 | 38,000円 |
4号警備(身辺警護) | 5日間で34時間 | 34,000円 |
警備員指導教育責任者の追加取得講習と料金
追加取得では2日から3日間の講習で、費用は10,000円から23,000円です。
講習を受ける時間 | 費用 | |
1号警備(施設) | 4日間で23時間 | 23,000円 |
2号警備(交通誘導) | 3日間で14時間 | 14,000円 |
3号警備(貴重品運搬) | 3日間で14時間 | 14,000円 |
4号警備(身辺警護) | 2日間で10時間 | 10,000円 |
警備員指導教育責任者の資格者証取得には申請が必要です!
講習の最終日に行われた修了考査に合格したからと言って、それですべてが終了するわけではありません。
警備員指導教育責任者資格者証の交付申請をする必要があります。
修了考査に合格したら、居住地を管轄する警察署に忘れずに『警備員指導教育責任者資格者証』の交付を申請しましょう。
添付書類も多いので、以下に記載しておきます。
- 講習修了証明書の原本
- 履歴書
- 本籍地が記載されている住民票の写し(コピーは不可)
- 身分証明書(本籍地の区市町村の長が証明する書類)
- 診断書(麻薬中毒じゃないか等に対する診断)
- 誓約書
申請書や証明書の原本などの書類は発行に時間が掛かる場合もあるので、合格後は早めに準備に取り掛かりましょう。
また、申請には9,800円の費用が発生しますので、あらかじめ用意して下さい。
警備員指導責任者の試験合格には問題集が必須アイテム!
警備員指導教育責任者講習の試験結果に大きな影響を及ぼすのが問題集です。
問題集は講習を受ける事務所で販売されています。
基本教育編と業務別編の二冊で3,500円前後の価格です。
この問題集がないと合格は難しいと、多くの講習経験者は口をそろえます。
テストは基本的にこの問題集から出題されますが市販されていませんので、その点はくれぐれもご注意ください。
警備員指導責任者の気になる年収は?
さて、気になるのが警備員指導責任者になった場合の年収です。
結論としては「これだけの金額が保証されます」とは言えません。
なぜなら、就職する会社の規模や所在地、派遣される現場、年齢によってかなりの差が出るからです。
一般的な警備員の平均年収は300万円前後で、平均月収は23万円前後とされています。
警備員指導教育責任者になれば、それぞれの区分に応じた資格手当が支給されるので、
およそ350万円くらいの年収が見込めるでしょう。
条件が良ければ400万円から500万円以上の年収も望めますが、あくまでも目安であると認識してください。
まとめ
社会やそこで暮らす人々の安全と財産を守る警備員は、とてもやりがいのある職業です。
『警備員指導教育責任者』の資格を持つと指導的立場になり、さらに充実感がプラスされることでしょう。
現在、弊社では警備員を募集しております。
お気軽にお問い合わせください。